おおた産業メンタルラボ

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産業医へのありがちながっかり 産業医のトリセツ、を作りたい その1

失望のストーリー


産業医と面接した従業員さんの失望のストーリーを聞いた。

「休職から復職をしようと思って、産業医と面接した。白衣ではなくスーツを着て、最初の印象から冷たい感じだった。」
「回復中である今の状況に対して、自分が頑張ってることに対してダメ出しをされた。」
「産業医は回復を支援してくれる支援者ではないのか」
「何のための医療者なのか。ひどい医者だ。」
「『リモート勤務、短時間勤務、週半分程度の勤務』を希望したが、『週5日出勤、フルタイム勤務ができなければ復職とはならない』と説明された。」
「回復途中であることを無視された」
「支援のための存在というより復職ルールの審判員のように感じた。」
そして合間には産業医から発せられたという無配慮なセリフ。

誰がいかんのか


うん。医者が悪い。
悪い、というか産業医の責任。

まず、産業「医」は何をする医者なのか、についての説明不足。
そして味方になろうとする努力の不足。
そしておそらくバックグラウンドにあるのは、
医者にありがちな、患者の誤解を都合よく利用しようとする狡さ。

産業医のセリフを聞くと「そりゃまあひどい産業医だね」と感じるけれども、それは面接されるクライアントの心象風景であり、どう色付けされているのかはわからない。

ただ、産業医として精神科医として、
クライアントはそのように受け取りがちなものであるということは覚悟しなくてはいけないし、
そのように切り取られるということは、そのように切り取りたくなる文脈を作ってしまったということ。
つまり、
その面接の文脈をコントロールできなかった時点で専門家の「負け」である。
というのもまあ一面の真実。

でも言い訳


とは言っても、
最初から本人の希望には添えないような、
そんな面接場面だって当然ある。
だからその面接が「負け」だからと言って、
その専門家の責任であるとは限らない。
あえて言うなら、本人の希望と医師の判断とのミスマッチ。
この場合はご縁がなかった。

詳しくお聞きすると、
今回のクライアントは
「まだ午前中は動きが取れないような状況で、午後になると何とか動き出せる」というような状態で、
復帰することを相談している。

この状況で産業医が<ではあなたの希望通りに復職しましょう>
というかと言ったら、それは違うと思う。

産業医が安全配慮義務の意見者として、
<その状況では働くことが健康被害を悪化させてしまいます。まだ復職できる状況にはないと判断します>
と明言することは、当然のこと。

もう一人の有責者


もうひとりこの状況を作ってしまった責任者、
きつく言えば悪者がいる。

それはこのクライアントの主治医。
おそらくは精神科医。

クライアントの希望を聞き、それを支持する。
それは良い。

希望に向かっての具体的な夢と計画を立てること、
それをアシストするのが医師の役割。

「復職したい!」
  ▽
<じゃあ、復職可能の診断書!>

ちがう。そうじゃない。

「空を飛びたい!」としたって


ただ、「空を飛びたい!」といったからと言って、
二階の窓からそのまま飛び出すことは勧めないだろうし、
タ〇コプターは持ち合わせがないだろう。
実際には、もっと希望を具体的に聞き取って、
どこかに行きたいのならば、
飛行機にするのか、電車にするのか。
やっぱり空を飛ぶことが大切ならば、
飛行機のチケットを取るのか、スカイダイビングの方法を考えるのか。

「復職したい」
ならばもっと具体的に準備も作戦も建てられる。
それをするのが主治医の役割。

今回はこれくらいで。
ではどうしたら、はまた次回に。
続きます。